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2009年03月 アーカイブ

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ホントに尊敬すべき経営者たち

世の中には、経営者を称賛する本や報道であふれかえっている。だが、本当に偉大な経営者そんなに多くない。自分の自慢話を膨らまして吹聴している経営者や、ヒット商品が出たときにたまたま社長だった人物が少なくないからだ。ここで紹介する経営者はまやかしでなく、ほんとに凄い人たちだ。

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「プレステ生みの親」久多良木健氏

久多良木健(くたらぎ・けん)氏
1950年生まれ
ソニー・コンピュータエンタテインメント元社長

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この人の偉大な功績はさんざん語りつくされているので、ここでは省略したい。プレイステーションの生みの親であり、任天堂の独壇場であった家庭用ゲーム機市場で、プレステを世界一に育て上げた。これは立派なことである。開発者としても、経営者としても、天才的な才能を持っていたのだ。

ただ、プレステ2が順調な滑り出しを見せたころから、奢りと油断が目立つようになってきた。
親会社のソニーでも発言力を高め、次期社長の最有力候補となった彼は、ソニー本体の半導体ビジネスや家電ビジネスにも口を出すようになったのだが、これがうまくいかなかった。

「自分はゲーム以外でも、何をやらせてもうまくやれる」と思いこんでしまったのだろうか。社内でも嫌う者が多くなった。側近たちの傲慢さが目立つようになってきたのもこのころだ。

ソニーの社長レースで、ハワード・ストリンガーに敗れたのは、彼のビッグマウスぶりと、社内での人気のなさが大きな理由だ。さらにプレステ3が失敗したことで、完全に引退することになった。

結局は、久多良木氏はサラリーマンであり、ソニーの社員としてプレステを成功させたのである。最後はそれを忘れて、起業家のようにふるまってしまったのが失敗だった。

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馬淵隆一氏 マブチモーターを圧倒的な世界一にした男

馬淵隆一氏
マブチモーター創業者、元社長

小型モーターで世界市場シェア5割以上という圧倒的な力を持つマブチモーターの創業者。戦後、兄の健一氏とともにマブチを創業し、常に小型モーターに経営資源を集中する戦略を貫き、マブチを世界の有力企業に育てあげた。

馬淵氏の経営哲学で見習いたいのは、どんなに儲かっている時でも、顧客のことを最優先に考える姿勢だ。馬淵氏は、小型モーターで稼いだ収お金は、小型モーターのさらなる改良のために使うべきだと考えている。他の事業の投資、すなわち事業拡大のために使うのは、経営者として本来の筋から外れるというような発言をされるのを聞いたことがある。

戦後、多くの日本企業が成功したが、事業を多角化しすぎて勢いを失った企業は少なくない。日立製作所や東芝、NEC、富士通などの総合メーカーはその最たる例だ。
馬淵氏の経営哲学をみならうべきである。

また、馬淵氏は謙虚で、自分の自慢になるような話をしたがらない。庶民的で、社員にも愛されており、それがマブチの家庭的で実直な社風に反映されている。

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大賀典雄 ソニー創業者が見つけた天才中の天才

大賀典雄(おおが・のりお)氏

1930年生まれ、
ソニー元社長

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この人は本当の天才である。もともと一流歌手になるべく音楽大学で勉強していたところを、ソニー創業者の盛田昭夫氏と井深大氏にスカウトされ、ソニーに入社した。

大賀氏のすごいところは、技術者でもないのに、CDやMDの商品化を実現させたところだ。ソフトウエア開発の中身にも精通していたという。

商品のデザインや会社の「カッコよさ」への強いこだわりを持ち、その重要性を世間に知らしめたのも大賀氏の功績だ。1990年前半くらいまで、SONYブランドは圧倒的な輝きを持っていた。

さらにもう一つ、プレイステーションの開発にGOサインを出したのも大賀氏だ。生意気な技術オタクであった久多良木健氏をかくまい、後押しし、久多良木氏がプレステを大成功させる際の後見人となったのだ。

さらにもう一つ、CBSソニー(現ソニー・ミュージック)を業界一位のレコード会社にしてしまったのも、称賛に値する。同社は、入社試験の面接に普段着で来させた最初の大企業である。

ソニーの創業者でないのに、創業者並みの活躍をした。

しかし、後継者を十分に育てなかったのが大きなミスだった。彼が後継者として選んだ出井伸行氏は、ルックスやスピーチはそれなりに良いが、中身がなかった。長い就任期間の間に大した仕事もせず、最後は大賀氏が追い落としを図ったという説が強い。

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ルパート・マードック氏 強引だがセンスの良いメディア王

ルパート・マードック氏 
米ニューズ・コーポレーション社長
1931年、オーストラリア生まれ

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この人は賢い商売人だ。

「世界のメディア王」として有名で、剛腕なイメージがある。確かに剛腕、というか強引な面は否めない。

アメリカにあるFOXニュースというニュース専門チャンネルはマードック氏が経営している。

このFOXニュースは、「右翼偏重」報道を自他共に認めている。完全に共和党寄り、かつてのブッシュ政権にすりよった報道をし、アメリカをイラク戦争に導くための宣伝役となった。

報道内容もめちゃめちゃなモノが多く、ジャーナリズムの精神とかけ離れている。

ただ、CNNよりもビジュアルを重視し、必要な場面で予算をどさっとつぎ込む効率的な経営スタイルは学ぶべき点も多い。

彼自身が右翼かどうかはやや疑わしい。右翼報道が商売になるから、あえて偏った報道姿勢を貫いているような気がしてならない。

また、彼の所有する大衆紙「ニューヨーク・ポスト」は、他のアメリカの新聞や日本の新聞よりはるかに読みやすく、読んでいて楽しい。見出しや記事のセンスも良い。誤報も多いが、特ダネもある。

で、調子に乗って経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルも拒否を投じて買収してしまったが、それがうまくいくかどうかは、まだよく分からない。

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藤村哲哉氏 映画業界の元風雲児

藤村哲哉氏
ギャガ・コミュニケーション創業者、元社長
1954年生まれ

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ギャガという会社は、今となっては、単なるUSENの子会社になってしまったが、もともとは偉大な会社だった。日本の映画配給業界に残した功績は大きい。

脱サラした藤村氏が1980年代に創業したギャガは、「版権ビジネス」の先駆けであった。B級、C級よりさらに質が悪い映画(Z級と呼ばれた)のビデオ化権を海外で買いまくり、レンタルビデオ屋に流して大儲けした。

その後に進出した洋画配給事業(こんどはA級作品も扱った)では、「どんな作品が日本でヒットする確率が高いか」ということを予測するためのデータベースを構築した。業界の職人たちの勘に頼るのでなく、あくまでデータに基づいて買い付けるスタイルだ。

いずれも、映画業界未経験だった藤村氏と、藤村氏が雇った側近たちが確立したビジネスモデルである。藤村氏はベンチャー起業家であるが、脂ぎったところがなく、常に「落ち着いた大人」であった。映画ビジネスのリスクを常に警戒する思慮深さも持っていた。このため、優秀な人間が多く集まり、ギャガを日本屈指の配給会社に押し上げたのである。

しかし、その後、脇が甘くなったのが、2004年前後に巨費を投じた大作の配給が相次いで失敗し、経営責任をとってギャガを退任した。上場を果たし、成功が続いていたため、油断しだのだろう。